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やノートページでの議論にご協力ください。ショートリコイルとは、弾丸の発射時に発生する反動(作用・反作用)を利用した自動装填式銃器の作動方式(反動利用式、リコイルオペレーション)の一形態である。ティルトバレル式ショートリコイル方式の動作概略図 反動利用式の中で最も広く使用されている作動方式で、主に自動拳銃、機関銃等に採用されている。 発射の際に銃身と遊底(ボルト)が結合されたまま、反動により後退する。後退の途中で閉鎖が解除され銃身が停止、遅れて遊底が停止するまでの間に抽筒・排莢が行われる。遊底の後退途中、比較的短い距離で閉鎖が解けることから「ショートリコイル」の呼び名がある。 これに対し、ショートリコイル作動と同じく反動利用式だが、遊底が停止するまで銃身と結合されたままで、閉鎖を解いたのち前進開始に時間差を設ける形で分離するロングリコイルと呼ばれる作動方式も存在する。閉鎖されたまま後退する距離が上記ショートリコイルよりも長い。 なお、1941年ごろの日本には両者を厳密に分ける概念が存在しなかった可能性がある[1]。
概要
歴史最初期のショート・リコイル式自動火器である1895年型マキシム機銃
金属薬莢の実用化以降、さまざまな自動装填機構を持った銃器が考案されたが、最も初期に実用化されたものが、1884年にハイラム・マキシムが発明したマキシム機関銃である。マキシム機関銃はショートリコイル作動方式を採用し、遊底の閉鎖方式には1850年代から米国で普及したヘンリー連発銃で使用されたトグル・ジョイント機構が用いられていた。一方、1893年にドイツで開発され世界初の市販自動拳銃とされるボーチャードピストルにも、トグルジョイント閉鎖機構を持ったショートリコイル作動方式が採用された。
以後、閉鎖機構等の形態を変えながらショートリコイル作動方式は機関銃、自動拳銃へ採用されていった。
しかし、ショートリコイル作動方式は銃身がレシーバー(機関部)に固定できない構造であるため、銃身が固定されている作動方式に比べると理論上では命中精度で劣り、また、銃身に大きな衝撃を加えると故障や暴発の原因となる。そのため、精度が重視される上、銃身に銃剣を装着して白兵戦を行う必要のある歩兵用の小銃に採用された例は珍しく、フェドロフM1916やジョンソンM1941自動小銃が数少ない採用例として知られている。
第一次大戦、第二次大戦を経てショートリコイル作動方式は各種の改良、発展が遂げられ、ブローニングM2重機関銃、MG42機関銃、コルト・ガバメント、ワルサーP38、ブローニング・ハイパワー等の現代へ繋がる銃が生み出された。
現在、閉鎖機構を持った自動拳銃では、小型軽量に設計できるショートリコイル作動方式が最も広く採用されている[2]。
他方、機関銃ではガス圧作動方式が一般的となり、ショートリコイル作動方式を採用した銃は、ブローニングM2重機関銃、MG3等少数派となった。
また機関銃以外では、強力な弾薬の使用と軽量化の両立を目指したバレットM82等がショートリコイル作動方式を採用した例として知られている。
代表的なショートリコイル方式自動拳銃であるモーゼルC96とM1911
スライドをプレス加工で製造し生産性を大幅に向上させたSIG P220
強化樹脂を用いて生産性の向上と軽量化を実現したグロック
.32ACPの小型拳銃に改良ブローニング式を採用したKel-Tec P-32
1933年以降使用され続けているブローニングM2重機関銃
12.7x99mm NATO弾を使用するが比較的軽量なバレットM82A1
珍しい歩兵用自動小銃での採用例、第二次大戦勃発によるM1ガーランドの不足を補うべく海兵隊等で使われたジョンソンM1941